低次収差、高次収差と「見え方の質」
<< 低次収差と高次収差の違い >>
光には様々な波長を持った光線が存在しています。
これらの光線がレンズを通過して一点(焦点)に集まり像として認識できます。
しかし、光線がレンズを通過する祭にレンズ表面に凹凸があったり厚さに違いがあった場合には、光線の波長や通過する位置や角度の違いによって光線が集まる位置、つまり焦点がズレます。
この光線の焦点がズレる現象のことを「収差」と呼んでいます。
人の眼について考えると、眼に入ってくる物体を映し出す光線にも様々な波長があり、正常な状態では、これらの光線が眼球の角膜や水晶体などを通過して網膜の一点に集まり物体像として認識できます。

しかし、光線が角膜や水晶体を通過する際に、角膜や水晶体の表面に様々なレベルの凹凸があったり、光線の屈折に影響を与える部位の厚さが違った場合、光線が通過する波長や部位、角度の違いによって網膜に集中する位置(焦点)がズレてしまいます。
この収差はメガネやコンタクトレンズ、レーシックなどによる屈折力矯正の際には重量な要素となります。
まず、大まかな歪みである「低次収差」と非常に細かな歪みである「高次収差」を理解しましょう。
<低次収差と高次収差について>
「低次収差」とは、「メガネやコンタクトレンズで矯正できるレベルの角膜の歪み」を差します。
「高次収差」とは、「メガネやコンタクトレンズで矯正できないほど微細なレベルの角膜の歪み」を差します。
人間の眼に発生するこれらの「低次収差」や「高次収差」の原因には、角膜や水晶体などの凹凸や光が通過する部位の厚さや形状の違いによって生じますが、「レーシック」では角膜の表面上の凹凸や厚さのに対してのみ矯正を行います。
「低次収差」はメガネやコンタクトレンズで矯正可能ですが、「高次収差」である非常に微細な凹凸はレーシックでしか矯正できないのです。
そして、これらの「高次収差」は波面の特性を利用して精密な角膜表面を測定することを可能としたウェーブフロント解析装置(ウェーブフロントアナライザーやウェーブスキャン、ZDWなど)によってはじめて測定可能となります。
ちなみに、このウェーブフロント解析装置による解析の精度はメガネやコンタクトレンズを作製するときの検査方法より25倍も正確だと言われています。
<高次収差の種類について>
「収差」には、レンズが球面であるために生じる球面収差、コマ収差、非点収差、歪曲収差、像面湾曲がありますが、「レーシック」で問題にされているものに「球面収差」と「コマ収差」が挙げられます。
「球面収差 (spherical aberration)」とは、球面であるレンズの外側から入ってくる光の焦点位置とレンズの中心から入ってくる光の焦点位置が異なることから起こる「収差」のことを言います。
大口径レンズになるほどその傾向が大きくなり、人では瞳孔の大きい人に関係があります。
「コマ収差 (comatic aberration)」とは、レンズ中心部が作る像の大きさとレンズの周辺部が作る像の大きさが異なることから起こる「収差」のことです。つまり像の中心方向あるいはその逆の方向に尾を引いたようになります。
「コマ」とはラテン語で「彗星」もしくは「流れ星」と言う意味で、この収差があると像が彗星や流れ星のように尾を引いた状態に見えることからコマ収差と呼ばれています。
そして、これらの「球面収差」、「コマ収差」の両方ともに、従来の「ケラトームレーシック」では補正が困難だったため手術後の「ハロー」や「グレア」がよく発生していました。
しかし、現在ではFSレーザーを用いたイントラレーシックもしくはアイレーシックなどでは、均一で高品質なフラップ作成が可能となり、「高次収差」や「球面収差」「コマ収差」を正確に測定し、これらの「収差」を矯正・補正を可能とするウェーブフロント照射の組み合わせにより「収差」による「ハロー」や「グレア」は激減しました。(暗所瞳孔径による「ハロー」や「グレア」は別です。)

眼科クリニックだけが悪いのではありません。


