イントラレーシック
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イントラレーシック は従来の「レーシック」つまり「ケラトームレーシック」と同様、エキシマレーザーを角膜に照射して屈折力を調整し、近視や乱視、遠視などの屈折異常を矯正します。
しかし、ケラトームレーシックではフラップを作成する際には超小型金属刃であるマイクロケラトームを使用しますが、イントラレーシックでは高性能コンピューターで制御された高精度なFSレーザーを用いてフラップを作成します。
ケラトームレーシックで使用しているマイクロケラトームは手動で操作を行うために熟練を要します。
そのため、経験の浅い執刀医ではフラップ作成において厚さが不均一になったり、大きさが不揃いになったり、ヒンジ部分(フラップを支える部分)が残せずに完全に切り取ってしまったり、しばしばトラブルが発生していました。
しかも、マイクロケラトームでどれだけ綺麗にフラップを作成しても超小型の金属刃による高速往復運動によって切開するため、フラップ切開面に小さなスジが入ってしまいます。
そのため、エキシマレーザーが均等に照射されずに不整乱視などを引き起こす可能性があり、夜間の「ハロー」や「グレア」などの現象が発生しやすい傾向がありました。
また、フラップのエッジ部分は鋭角に切開されるためフラップを元に戻してもズレやシワが発生しやすく、接着するまでは細心の注意が必要でした。
このようなマイクロケラトームによる欠点を改善するために開発されたのが、FSレーザーによるフラップ作成です。
高性能コンピューターで制御するためフラップの大きさ厚さ、ヒンジの位置や長さを自由に設計することが可能であり、フラップ切開面も均一で滑らかに仕上がります。
実際には角膜に特殊な平面ガラスを押し当てて固定し、そのガラス面に垂直にFSレーザーを照射して一定の深度で作用させ、連続照射することにより正確にミクロン単位の剥離面を作りだします。
ですから、角膜に対して正確に均一の厚さで、しかも滑らかで精密なフラップが作成可能なのです。
また、FSレーザーではエッジ部分を直角にすることができるのでズレやシワを起こりにくくすることも可能で、このことにより、ボタンホールや上皮のフラップ下迷入などの合併症の発生率を減少させることが可能となりました。
しかも、FSレーザーでは従来のマイクロケラトームを使用するよりも60%も薄いフラップを作成することができるため、エキシマレーザーを均一に安定して照射することが可能になるうえに、照射後の角膜の厚さを十分に残すことができるため、角膜の強度も保つことができます。
そして、フラップは薄いほどエキシマレーザーを照射して矯正できる角膜厚に余裕ができるのでそれだけ有利になり、角膜の薄い方や強度近視の方でも手術対応の可能性が広がりました。
イントラレーシックで最も恩恵を受けることができるのは、これまでケラトームレーシックの手術対象外であった角膜が薄く強度近視の人でも「レーシック」による手術が可能になったことです。
この画期的なFSレーザーを用いてフラップを作成した方が圧倒的に「レーシック」手術にとって有利なため、マイクロケラトームからFSレーザーを用いた「イントラレーシック」に移行し始めたのです。
そして最初に開発し使用されたFSレーザーが絶大な信頼性を築いたイントラレース社のIntralase FS Laserだったのでイントラレーシックと呼ばれるようになったのです。
ただ、同じFSレーザーを用いてフラップ作成を行うにも関わらず、その他の測定機器(ウェブスキャン)やエキシマレーザー(VISX STAR S4 IR)の機種を限定して行った場合のみのイントラレーシックをアイレーシックと呼んでいます。
現在では、FSレーザーによるフラップ作成は高性能コンピューターで制御していますので非常に正確に、しかも安全に行うことが可能となったため、マイクロケラトームを使用するケラトームレーシックからFSレーザーを用いるイントラレーシックに移行し、アイレーシックやZレーシックなどの新しい術式も誕生しています。
<イントラレーシックの実力と評価>
★現在では手術症例数が最も多く、実績や信頼性が高い。
★マイクロケラトーム使用よりもはるかに安全で信頼性の高い術式となった。
★これまでケラトームレーシックが不適合だった人でも手術の可能が広がった。
★ドライアイ、ハロー、グレアなどの合併症が少なくなった。
★ウェーブフロントレーシックの組合せによって「見え方の質」が向上可能となった。
★現在の屈折矯正手術の基本的な術式となった。
★最新Zレーシック、アイレーシックの基礎的な術式となった。
ただ、イントラレーシックではFSレーザーを使用するのでフラップ作成時の照射作用点によって発生した水蒸気がフラップ内面に留まっていますので、角膜は白っぽく濁ったようになります。
しかし、この角膜の濁りは約20分ほど安静にしていると透明に戻りますので、その間はリラックスルームで待機することになります。
しばらくして角膜が透明になってから再度手術室に入室し、今度は角膜実質増を矯正するためのエキシマレーザーを照射します。
<イントラレーシック手術の流れ>
1.洗眼の後に点眼薬で麻酔を行います。
2.開瞼器でまぶたを開いて固定し、FSレーザーを照射してフラップを作ります。
3.フラップをめくり角膜実質層にエキシマレーザーを照射して屈折力を調整します。
4.照射後、洗浄、消毒してフラップを元の位置に戻します。
5.開瞼したまま2分程度安静にしてから目薬を点眼して終了です。
<イントラレーシックの利点>
●フラップ作成時の機械的なトラブルの心配がない。
●均一の薄さで切開面の滑らかなフラップを正確に作成することが可能。
●フラップ面を滑らかに作成できるためよりクリアな視力回復が期待できる。
●フラップのエッジを垂直にできるためフラップがずれたりシワができにくい。
●ボタンホールや上皮のフラップ下迷入などの合併症の発生率を減少させることが可能。
●フラップを薄くすることが可能なため、強度近視や角膜が薄い人でも適応範囲が広がった。
●物理的な負荷がないため眼球へのダメージが少ない。
●平均裸眼視力がケラトームレーシックに比べ高くなる。
●ケラトームレーシックに比べて再手術率が大幅に減少。
●フラップの作成の設計が自由に行える。
●フラップ面を滑らかにすることができるのでハローやグレアが起こりにくい。
●コンピューター制御のため比較的経験の浅い執刀医でも手術可能となった。
<イントラレーシックの欠点>
■フラップ作成後の角膜の白濁が落ち着くまで時間がかかる。
■FSレーザー照射による蒸散の影響によりフラップ面が接着するまでに多少時間がかかる。
■術後のフラップ面に起きるDLK炎症が問題となるが点眼薬で抑制可能。
■10〜20年後の長期の影響がわかっていない。
■手術全体の時間がケラトームレーシックよりも長い
■マイクロケラトームと比較して、角膜への負担がやや大きい
■精巧な高性能コンピューターを使いこなす力量が必要になった。
<イントラレーシックの現状>
イントラレーシックで用いられているFSレーザーによるフラップ作成は、マイクロケラトームより薄くて高品質なフラップを正確にしかも安全に作れるのに、なぜ多くの眼科クリニックにイントラレーシックが導入されていないのでしょうか?
その大きな理由のひとつに経済的な理由が挙げられます。
屈折矯正を行う眼科クリニックのほとんどは、ケラトームレーシックを始めた以前から眼科治療を行っており現在も眼疾患治療をするかたわらで屈折矯正を行い経営を成り立たせています。
こうした眼科クリニックでは、屈折矯正だけを見た場合には採算性が合わず利益がでないケースがほとんどです。
そのような現状で、マイクロケラトームに比べはるかに高額なFSレーザーを新たに導入するのは大きな負担であることが推測できます。
特にFSレーザーを導入しなくても従来のケラトームレーシックで治療を行う事が可能なわけですから、ほとんどの眼科クリニックにおいてイントラレーシックの導入は見送られてしまいます。
逆に言えば、屈折矯正手術で多くの症例をこなして十分な利益をあげていなければ、イントラレーシックは導入できないとも考えられます。
実際、イントラレーシックを導入している眼科クリニックは少なく、都心部の大手有名眼科クリニックがほとんどです。
以前には、医学的なデータが少ないことを理由にあえて未導入の大手有名眼科クリニックもありましたが、現在では、ほとんどの施設でFSレーザーを用いた「レーシック」を行っており、このイントラレーシックにオーダーメイド的な「見え方の質」を向上させることが可能なウェーブフロント照射を組み合わせたウェーブフロント・イントラレーシックが最も主流となっています。

眼科クリニックだけが悪いのではありません。


